February 20, 2005

着装文化通信12 ブーツ

 秋・冬、街行く女性の脚にはブーツが欠かせません。脚にぴっちりと隙間なくフィットしていて、ヒールの高さが10センチ程度のデザインであれば、縄をかけずとも女性はボンデージ的な感覚を味わうことになります。ブーツ姿の女性は下手な縛り以上に拘束感を味わっているので、鑑賞する側の頭の働かせようによっては素晴らしいボンデージシーンを堪能することができるわけです。
 タイトなブーツは履いているだけで歩行を難しくします。なんといってもまず、そのヒールの高さで平衡感覚がゆらぐからです。ヒールはピン、即ち地面に触れる面積が狭ければ狭いほど安定感がなくなります。さらに追い討ちをかけるのが、足首の締め付け。パンプスでは味わえない苦しさです。その感触は、足首にロープが幾重にもきつく巻かれているのとよく似ているとのこと。特に購入直後で脚に馴染んでいないものは大変で、ひどい場合は足首を曲げることすらできないそうです。階段などの段差のある場所は特に足首を使いますから、手すりにつかまらないと階段を下りられないというモデルさんもいます。街でブーツ姿の女性を観察していると、時にこれに近い状態の方を見かけることがありますね。周囲に比べて歩行速度が極端に遅い。一足ごとに上半身が揺らいでいる。付き添いの男性にもたれかかり、ほとんど支えてもらっている方さえいます。彼女たちは、男性諸君からは想像もつかないような苦痛を一歩一歩耐え忍びながら歩いているのです。しかも歩数が増えれば増えるほど、脚の疲労と共に苦痛が倍増していくのです。その日一日歩行する歩数を考えると、その苦痛は一日中続く拷問のようなものです。まさか道で履物を取るわけにもいきませんから、まさしく白昼堂々野外ボンデージと言っても過言ではないでしょう。しかも哀れなことに、彼女たちはその苦痛などどこ吹く風と、ポーカーフェイスで隠さなければいけません。彼氏や連れの友人の前で苦悶に満ちた顔などしたら、折角のお洒落が台無しですからね。
 さて、私はそういう女性を眺めつつ、彼女の脚にかかる圧迫感や拘束感、それに伴う苦痛をまざまざと想像して楽しむわけです。ブーツはアクションヒロインのコスチュームをも連想させますので、捉われのヒロインといったシチュエーションが実によい妄想ネタになります。
 ここで肝心なのは、女性の脚を包むのはブーツだけではいけないという点です。女性の脚はブーツの下でさらにストッキングに包まれていなければいけません。素肌を晒したナマ脚ブーツなどはもう、私の着装文化的な視点でいえばほとんど鑑賞するに値しません。以前の号でオーバーニーソックスについて触れた時と同じ発想なのですが、女性の脚が幾重にも包まれている状態というのが私のフェティシズムをくすぐるのです。女性の肌、ナイロンの布地、そしてブーツの皮が醸し出す臭覚もたまりません。足先、指の間にじんわりと滲む汗がブーツの中で蒸れて、そのブーツを脱がして取り去る瞬間には、さぞかしムワリとした臭気が立ちのぼるでしょう。気取り上がった女性にとって、これは大変な恥部であるわけです。ですからなおさら私は、その臭いに興奮するのです。ああ、彼女に縄をかけたらどうなるだろう?そういう私の願望を具現化したのが写真●となります。ストッキングで光沢付いた太股。ぴっちりと脛と足首を締め付けるブーツ。ただでさえきつい足首を無情にもさらにロープが締め付けています。ミニスカートにもホットパンツにもよく合う可憐なブーツ姿ですが、下半身の拘束感は通常の緊縛の倍にもなると思われます。
 この苦しみに満ちた拘束感、逃れたがたいチラリズムにのたうちまわる彼女たちの美しさに立ち会うと、私が持ちうるブーツの種類分だけいくらでも再生産したいという願いを起こさせるのです。

S&Mスナイパー2005年4月号掲載



reijoh_shashinkan at 23:12│Comments(0)TrackBack(0) 衣装に関すること 

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